ある日、1階のトイレ便座が突然壊れました。
気がつけば、もう29年も使っていたことになります。
12月の寒い時期だったので、迷う余地はありませんでした。
とにかく「冷たい便座だけは困る」。すぐに交換をお願いしました。
29年もったことに驚いた
まず驚いたのは、29年も使えたこと自体だ。
家を建てた1992年に付いていた標準の便座。
特に高級品でもなく、ごく普通の暖房便座だった。
途中で一度もトラブルがなかった。
家の設備の中では、最も手のかからなかったものかもしれない。
それが突然、電源が入らなくなった。前日まで普通に使えていたのに。
12月の便座が冷たいのは、地味にこたえる。
座るたびに「うっ」となる。家族全員が不満顔だった。
ウォシュレットにするか問題
業者の方からは「ウォシュレットにしませんか」と提案されました。
確かに便利そうです。ただ、私はすぐには決めませんでした。
一度、家族にも相談しました。
妻と子どもに「どうする?」と聞いてみたのです。
私は正直、メンテナンスが少し面倒そうだと感じていました。
調べると衛生面の手入れはそれなりに必要そうでした。
ノズルの掃除、フィルターの交換、水垢の除去。
放っておくと雑菌が繁殖するという話も見かけた。
そして、その手入れはきっと私の役目になる。
それが少し気が重く、私は「シンプルな温かい便座でいいのでは」と二人に提案しました。
費用の差も気になった
ウォシュレット付きにすると、本体だけで3万円以上。工賃を入れると5万円近くになる。
一方、暖房便座だけなら1万円台で済む。工賃込みでも2万円程度。
差額は約3万円。
3万円で快適さを買うか、シンプルに済ませるか。
若い頃なら迷わずウォシュレットを選んだかもしれない。
だが60代になると、「壊れた時の修理」「掃除の手間」「次の交換時期」まで考える。
便利さだけでは決められなくなった。
家族の結論
妻は少しウォシュレットに興味がありそうでしたが、
最終的には「今回はシンプルでいいか」という結論になりました。
決め手は、2階のトイレがまだ健在だったこと。
「2階が壊れた時にウォシュレットにすればいいんじゃない」と妻が言った。
なるほど、と思った。一度に全部変える必要はない。
交換作業は業者に頼んだ。
作業時間は30分もかからなかった。あっけないものだ。
29年間毎日使い続けたものが、たった30分で新品に変わる。
新しい便座に座った時、妻が「あったかい」と言った。
当たり前のことだが、壊れて初めて「暖かい便座」のありがたさがわかる。
人間、失ってから気づくことが多い。歯もそうだった。
ちなみに、外した古い便座を見たら、裏側がだいぶ汚れていた。
29年分の汚れだ。見なかったことにした。
新しい便座の取扱説明書には「寿命の目安は10年」と書いてあった。
次に壊れるのは70代後半か。
その時はウォシュレットにしているかもしれない。
その時の自分が決めればいい。
家は静かに歳を取る
2階のトイレはまだ壊れていません。
しかし、家の設備というのはある日突然、寿命を迎えます。
以前、洗面台を交換したこともあります。屋根の塗装もやった。
家は静かに歳を取り、そしてある日まとまった出費がやってきます。
築30年を超えると、あちこちにガタが来る。
自分の体と同じだ。
「まだ大丈夫」と思っていたものが、ある朝突然動かなくなる。
だから、ある程度の修繕費は常に頭に入れておいた方がいい。
焦って決めると、余計な出費になることもある。
我が家の場合、屋根、洗面台、便座と続いた。次は給湯器かもしれない。
築30年超えの家は、まるで順番待ちのように設備が壊れていく。
今回の便座は、急ぎだったがシンプルな判断ができた。
家族と話して、身の丈に合った選択をする。
60代の暮らし方は、そういうことの積み重ねだと思う。

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