国民年金の通知が届いた
子供が大学を卒業し、就職した。
ほどなくして国民年金の通知が届いた。
学生時代の国民年金の猶予分。未納ではないが、払っていない期間が残っていた。
就職したばかりでは払えない現実
就職したばかりの生活は楽ではなかった。
奨学金の返済。
地元銀行から借りた大学生活費の返済。
年金まで回す余裕はない。それが現実だった。
「今は無理だろう」――そう思った。
国民年金の猶予分はどうなるのか
気になり、制度を調べた。
学生納付特例、追納の期限、未納との違い、将来の年金への影響。
国民年金は20歳から60歳までの40年間で満額になる。
猶予分をそのままにすれば、将来の年金額は減る可能性がある。
調べても答えは出なかった。ただ、気にはなり続けた。
約60万円という現実
猶予期間は2年12ヶ月、合計で約60万円。
月に直せば約2万5千円。
余裕のある金ではない。正直、重かった。
それでも――払っておくか、と思った。
理由ははっきりしない。ただ、親としてそうした。
社会保険料控除が使えると知った
調べていくうちに、一つ救いがあった。
子供の国民年金を親が払った場合、親の確定申告で社会保険料控除が使える。
つまり、約60万円がそのまま所得控除の対象になる。
税率にもよるが、数万円は戻ってくる計算だ。
60万円の痛みが少しだけ和らいだ。
知らなければ損をするところだった。
年金の制度は複雑だが、調べる価値はある。
追納の手続きは意外と面倒だった
実際に払おうと決めてから、手続きに手間取った。
年金事務所に電話をかけ、追納の申し込み書を取り寄せる。
届いた書類に記入して返送し、納付書が届くのを待つ。
納付書が届くまでに2週間ほどかかった。
届いた納付書は月ごとに分かれていて、全部で36枚。
コンビニでまとめて払えるのかと思ったら、1回の支払いは30万円までらしい。
2回に分けて払った。
こういう細かいことは、やってみないとわからない。
ネットで調べても出てこない実務的な話だ。
追納には期限がある。
猶予を受けた翌年度から10年以内。
この期限を過ぎると、もう払えない。
うちは期限ギリギリだった。
あと半年遅かったら、追納の選択肢すらなかった。
子供にこの話をしたら「知らなかった」と言っていた。
そりゃそうだろう。
年金の仕組みなんて、若いうちは興味がない。
だからこそ、親が気づいて動くしかない。
追納しなかったらどうなるのか
ふと考えた。
もし追納しなかったら、どうなっていたのか。
学生納付特例の期間は、年金の受給資格期間には算入される。
だが、追納しないと年金額には反映されない。
つまり「もらえる年金が減る」ということだ。
3年分の未納で、年間約6万円の差が出るらしい。
65歳から受給して85歳まで生きたとすると、20年で約120万円。
60万円払って120万円取り戻す。
数字だけ見れば、悪くない判断だった。
もちろん、長生きしなければ元は取れない。
でも年金は「長生きリスクへの保険」だと思えば、払う意味はある。
本音:投資に回したかった60万円
正直に言えば、この60万円を日本の高配当株に回したかった。
そうすれば、今とは違う結果もあったかもしれない。
だが、子の年金に空白を残すことの方が気になった。
あの時の会話
22歳から40年働けば年金は満額になる。
そう思い、電話で「とにかく長く勤めろ」と話した記憶がある。
親としてできることは多くない。
だが、やれることはやっておいた。
この判断は正解だったのか
この判断が正解だったのか、今も分からない。
後悔していないとも言い切れない。
忘れたい過去になるのかもしれない。
それでも――あの時は、そうするしかなかった。
ただ一つ思う。
早く稼いでほしい。月1万円でもいい。
自分の足で立ってくれれば、それでいい。


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