3月18日、手術へ
次回の診察は3月18日。約20日後だ。
少し間が空くのでは、と聞くと手術が混んでいるらしい。
焦る治療ではない。
口の中の状態を整え、準備をしてから進める。そういうものだと分かってきた。
仮歯はプラスチック製の一時的なものだという。
だが、ただの仮ではない。噛み方や当たり方を見て、最終の歯の形を決めるための「設計図」のような役目があるらしい。
インプラントは天然歯と違って動かない。
だから力が一点に集中しないよう、両脇の歯との当たり方を調整しているという。
見た目よりも「力の分散」を優先する――長く使うための設計なのだと知った。
費用の話もはっきりした。
手術の日に約22万円。
その後、インプラントが骨としっかり結合した段階で約20万円。
3ヶ月か、6ヶ月か。
それは時間ではなく、骨と土台が本当に一体化したかどうかで決まるらしい。
医療は「日数」ではなく「状態」で進むものだと知った。
手術時間や術後のことは、その場では聞き忘れてしまった。
あとで調べてみると、手術は1時間前後が一般的らしい。
術後は数日、手術した側で噛まないことと安静が必要だという。
怖さは、正直に言えばゼロではない。
だが、ネットで調べてみると、特別なことではないようだ。
麻酔をして処置をする。神経の治療や抜歯と大きく変わらないという。
大げさに考えすぎない方がいい――そう思うようになった。
いまの怖さは、少し。
それよりも、早く終わってほしい気持ちの方が大きい。
不安より、前に進みたい。
ここまで来たら、もう迷いはない。
あとは体調を整え、3月18日を待つだけだ。
手術前夜の話
3月17日の夜。
明日が手術だと思うと、やっぱり落ち着かない。
口の中をいじられるのは、何歳になっても怖い。
歯医者の椅子に座るだけでも緊張するのに、今回は手術だ。
骨を削って、インプラントの土台を埋め込む。
文字にするだけで重い。
妻に「明日、手術だからな」と言った。
「大丈夫でしょ」と返された。
軽い返事が、逆にありがたかった。
深刻な顔をされたら余計に不安になる。
ネットで調べすぎた
手術前に、ネットでインプラント手術の体験談を読み漁った。
これがよくなかった。
「思ったより痛くなかった」という人もいれば、「術後が地獄だった」という人もいる。
読めば読むほど不安が増える。
途中でスマホを閉じた。
術前の注意事項も確認した。
前日は飲酒を控える。
当日は軽めの食事を済ませてから来院する。
血圧の薬はいつも通り飲む。
激しい運動は術後1週間は避ける。
言われたことを紙に書いて冷蔵庫に貼った。
忘れっぽい年齢になると、こういうことが大事になる。
考えても仕方がない。
先生を信じるしかない。
何十件もやっているプロだ。
こちらは初めてだが、向こうは日常の仕事。
そう思うようにした。
それでも夜中に一度目が覚めた。
手術の日はいつもこうだ。
42万円の覚悟
手術代22万円と、その後の上部構造で約20万円。
合計42万円。
年金生活者にとって、軽い金額ではない。
だが歯は毎日使うものだ。
入れ歯にして毎食のたびにストレスを感じるか。
42万円払って自分の歯のように噛めるようになるか。
この先20年使うと考えれば、1年あたり2万円ちょっと。
月にすれば1,800円弱。
そう考えたら、払えない金額ではなかった。
この選択が正しかったかどうか。
それはまだ分からない。だが――
自分の歯で噛める時間を守るための選択だった。
――この続きは、また書こうと思う。
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