訃報の確認だった。
町内会の連絡で、亡くなった方の住所と名前を照合する。
ゼンリンの住宅地図を開いた。
番地が、読めない。
俺は近眼だ。免許証の条件欄には「眼鏡等」と入っている。
運転するときは必ずかける。かけなければ違反だ。
だが、それ以外はメガネが嫌いで、ほとんど裸眼で過ごしている。
新聞も裸眼で読める。老眼鏡は使っていない。
近眼だから手元は見える。そのまま老眼鏡なしで来た。
その俺が、地図の番地だけは読めなかった。
虫眼鏡を当てても、まだ小さい
持っているメガネは遠近両用だ。レンズの上が近眼、下が老眼になっている。
つまり手元用も付いている。それでも、あの番地は読めなかった。
虫眼鏡を出した。
妻が100均で買った物だ。柄の付いた丸いやつで、レンズは直径10センチほどある。
見えるには見える。だが、まだ小さい。
ゼンリンの番地は「7051-1」のように、4桁に枝番が付く。
その字の一辺が数ミリしかない。隣の家と見分けるには、あと一息足りなかった。

間違えられない確認だ。
「たぶんこの家」では済まない。
iPhoneの拡大鏡は、もう手の中にあった
iPhoneに「拡大鏡」が入っている。
買ったときから入っていた。
アプリを入れた覚えはない。
やることは単純だ。
地図にかざす。+で拡大、-で縮小。それだけ。

保育園の名前が読めた。
その脇の番地も、枝番まではっきり出た。
俺のiPhoneには最初から入っていた。探して見つからない人もいると思う。
出し方はアップルの公式ページに載っている。
→ iPhoneで拡大鏡を使う(Apple公式)
ボタンを何回か押して呼び出す設定や、コントロールセンターに入れておく方法もあるらしい。
俺はそこまで凝っていない。かざして+を押しているだけだ。
ただし、長くは使えなかった
ここが正直なところだ。
一瞬の確認になら、よく効く。調べ物でちょっと見る、それなら申し分ない。
だが、持ち続けると重い。
片手でかざしたまま探しものを続けると、腕も目も疲れる。
長く探すなら、まだ虫眼鏡の方が楽だった。
これは使ってみないと分からなかった。
Androidにも拡大鏡はある(Pixel 5以降)
先に断っておく。俺はAndroidを持っていない。
だから「こう出せば使える」とは書けない。使ったことのない道具の手順を、調べただけで書くのは嘘に近い。
調べて分かったのは、紛らわしい2つがあることだけだ。
- 画面の拡大=スマホの画面そのものを大きくする。どの機種にもある
- 拡大鏡=カメラで紙や地図を写して大きくする。iPhoneと同じ用途
地図の番地に要るのは下の「カメラで写す方」だ。
グーグルの説明では、拡大鏡アプリが使えるのはPixel 5以降となっている。自分の機種で使えるかは、下の公式ページで確かめてほしい。
→ 拡大鏡アプリ(カメラで写す方・Google公式)
→ 画面の拡大(画面そのものを大きくする方・Google公式)
100均のルーペで足りるか
うちにあるのが、その100均のルーペだ。
最初に地図に当てたのも、これだった。
俺は値札も薬の説明書きも裸眼で見える。
虫眼鏡が要ったのは、ゼンリンの番地だけだった。
俺には要らなかった。
だが、そこが読めなくて困る人にとってはどうか。
以下は2026年7月に調べた中身だ。
ダイソーやセリアには110円のルーペがある。メガネ型(約2倍)、財布に入るカード型(約2.5倍)、折りたたみ式。値札や薬の説明書きのような「ちょっと確認」なら、これで足りるという声が多い。
110円だから、合わなくても痛くない。
ただし、ルーペと老眼鏡は別物だそうだ。ルーペは物を拡大する道具、老眼鏡は目のピントを合わせる道具。長く使うと目が疲れるらしい。
地図そのものを大きくする手もある
紙を拡大するのでなく、地図の方をネットで見る道もある。
俺は契約していない。以下は2026年7月に調べた中身だ。
- ゼンリンのスマホアプリ=表札・番地まで出る住宅地図。画面で拡大縮小できる。月1,600円(初回1か月無料)
- コンビニでプリント=必要な範囲だけA3で出す。1枚660円
- 図書館=住宅地図を置いている図書館なら、館内で無料で見られる
ゼンリンのアプリは、無料の範囲では住宅地図が見られない。
金を払うか、図書館へ行くか、どちらかだ。
電子ルーペは3万5千円。それでも売れる理由があった
専用の道具も調べた。電子ルーペ、または拡大読書器と呼ばれる。
| 道具 | 重さ | 値段 |
|---|---|---|
| iPhone(持っている物) | 約145g | 0円 |
| 手に持つ電子ルーペ(4.3インチ) | 217g | 35,200円 |
| 同(別メーカー) | 180g | 47,777円 |
| 机に置く電子ルーペ(4.3インチ・最大10倍) | 144g | 7,980円 |
手に持つタイプは、iPhoneより重い。
「重い、疲れる」が俺の不満だったのだから、3万5千円払ってもっと重い物を持つのでは、話が逆だ。
机に置くタイプなら144g。持たなくていいし、8千円で買える。
俺の用事に近いのは、こっちだった。
調べていて、値札に「非課税」と書いてあるのが気になった。
消費税がかからないのは、これが身体障害者用の物品だからだ。
視覚障害の手帳がある人は、市町村の制度(日常生活用具の給付)で買える。自己負担は原則1割。基準額は約30年前から198,000円のままだという。
3万5千円の道具が売れている理由が分かった。
それが無いと新聞も読めない人がいる。その人には、5万円でも高くない。
俺の用事は、たまに地図の番地を読むだけだ。
同じ道具は要らない。
要る物と要らない物を取り違えて金を使ったことは、何度もある。そのときの話は無駄遣いをやめた60代の俺|後悔した3つと買ってよかった2つに書いた。
まとめ
小さい字が読めないのは、恥ずかしいことじゃない。60代なら順番だ。
ただ、間違えられない確認というものが暮らしの中にはある。
俺にとってはゼンリンの番地がそれだった。
使ってみて分かったのは、道具は場面で分かれるということだ。
- 一瞬の確認=スマホの拡大鏡。持っているなら0円
- 長く探す=虫眼鏡か、机に置くタイプ
- 地図そのものを何度も見る=ネット版か図書館
- これが無いと読めない=制度で買える専用の道具がある
買う前に、まずポケットの中を確かめてほしい。
俺の場合は、それで半分片付いた。


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