34年目の外壁、大工は塗装しろと言う|近所はコーキングだけだった

迷った

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時々の散歩のコースで、解体途中の家があった。しばらくどんな間取り、柱は?とか方角とか、なんの材料を使っている、重機の動きなど興味津々で数分見学していた。

ある日、北側の壁がめくれていた。鉄筋が見えた。錆びていた。表から見えない場所がああなっているのか、と思った。

うちも同じだろうと思った。北側の外壁は、34年間まともに近づいて見たことがない。

ぱっと見、外壁はきれいだ

南側は日当たりがいい分、よく見える。汚れもわかる。だから気にしていた。でも北側は日陰で、そもそも目に入りにくい。34年間、まともに近づいて見たことがなかった。

近くで見て初めてわかった。コーキングが縮んでいた。剥がれているところもあった。塗装の表面も、ところどころ粉をふいていた。チョーキングという現象だと後で知った。手で触ると白い粉がつく。塗膜が寿命を迎えたサインだ。

コーキングが、静かに死んでいる

コーキングとは、外壁のパネルとパネルのつなぎ目を埋めているゴム状の素材のことだ。シーリングとも呼ばれる。防水の役割を持っていて、これが劣化すると隙間から雨水が入り込む。

うちの外壁はサイディングという板状の建材を張り合わせたものだ。工場で作られたパネルを現場で貼っていく。だから横に継ぎ目が走っている。その継ぎ目を埋めているのがコーキングだけど、すでに硬化して縮んでいる。

一般的に、コーキングの寿命は10〜15年と言われている。34年間、一度も手をつけていない。遅すぎた。

コーキングだけ替えれば済む、と思っていた

コーキングだけ打ち替えればいいなら安いはずだと考えていた。調べてわかった。そうはいかない。

コーキング工事には足場が必要だ。高いところの作業になるからだ。足場を組むだけで15〜20万円かかる。コーキング打ち替えの材工費が10〜15万円。合わせると25〜35万円になる。

それなら外壁塗装とセットでやった方がいい。足場代を共通で使えるからだ。どうせ足場を組むなら、一緒に塗装まで終わらせてしまう方が結果的に安くなる。

費用の目安

外壁面積165㎡(延床175㎡から概算)で試算した。

工事の種類費用の目安
コーキング打ち替えのみ25〜35万円
一般グレード塗装+コーキング86〜102万円
中・高グレード塗装+コーキング110〜140万円

※足場代15〜20万円含む。屋根は別途。

一般グレードとはシリコン系塗料のことだ。耐候年数はおおむね10年前後。中・高グレードはフッ素やラジカル制御系と呼ばれる種類で、15〜20年持つとされている。費用は上がるが、足場を何度も組むことを考えると長持ち塗料の方が割安になる場合もある。

大工がぼそっと言った「200万」

家を建てた大工が先日LINEで概算を送ってきた。「200万ぐらいかな」と。

ネットの相場と比べると倍近い。高グレードの塗料を使う前提か、屋根の補修も込みで見ているのかもしれない。明日、実際に見に来る。直接聞いてみる。

200万と86万の差がどこから来るのか。聞いてみないとわからない。それが今の状態だ。大工一人の言い値で決めるのは危ない。俺も相見積もりを取るつもりだ。

図面がなくても、概算は出せる

火災保険の証書を引っ張り出した。延床面積が175.54㎡と書いてあった。外壁面積は延床の0.9〜1倍が目安と言われている。うちは概算で165㎡前後になる。

固定資産税の通知書にも床面積が記載されていることがある。保険証書が見つからなければそちらでも確認できる。まず自分の家の面積を把握する、それだけで業者との会話の質が変わる。

動かない俺が、ここにいる

Choice Noteにはトタン屋根の塗装で手抜きされた話を書いた。外壁の記事も書いた。でもうちの外壁は、まだ何もしていない。

記事を書くことと、自分の家を直すことは別の話だ。知識は増えた。行動は増えていない。34年間そのままにしてきたのだから、当然かもしれない。

大工がまだ来ない。「明日見に来る」と言ったまま、連絡がない。催促するのも気が引けて、ずるずると時間が経った。

その間、散歩のついでに近所の家を見ていた。足場が組んであった。外壁塗装でもするのかと思っていたら、業者がコーキングだけを打ち直して帰っていった。塗装はしていない。コーキングだけで終わりだった。

塗装まではしなくていい、そういう判断もあるのかと思った。うちも同じでいいかもしれない。

近所の話をもう少し聞いた。コーキングを業者に頼んだのではなく、旦那がホームセンターで材料を買って自分でやったらしい。足場も組まなかった。手が届く範囲だけ自分で打ち直したということだ。

その家、雨樋の修理で足場を組んだら60万かかったと聞いた。足場があるうちにコーキングもやってしまえばよかった、という話だ。

知り合いの大工がいない人は、ネットの一括見積もりサービスで3社以上比べると価格の目安がつかみやすい。

そこへ、地震保険の鑑定人が来た

外壁のことを調べているうちに、保険の話をいくつか聞いた。心に残ったのは3つ。「対象にならないと思いますよ」と窓口に言われても、判断するのは審査の部署だから正式に申請していい。過去の被害も、一般に3年までさかのぼって請求できる。そして、保険は使っても保険料が上がらない。

思い当たることがあった。2024年1月1日の能登半島地震。うちのあたりは震度5だった。あの日は「壊れた」という感じはなかったが、この外壁の傷みの中に地震の分も混ざっているんじゃないか。だめで元々、保険会社に電話した。すると「鑑定人が見に行きます」と日程が決まった。

来たのは鑑定の専門会社の人が1人。最初に説明が10分。地震の被害だけを見に来ていて、火災保険の話と混同しない、きっちりした話しぶりだった。それから現状把握が25分か30分。外まわりを目視で確認しながら、写真を100枚くらい、家の角から隅まで撮っていった。図面も写真に撮っていった。柱・壁・基礎・土台——主要構造部というところを見ていた。

鑑定人が言うには、土台と基礎の通気口まわりが、一番被害の分かる場所らしい。うちも基礎にヒビが見つかった。最後に請求書の説明が5分。その場でサインは求められず、請求書は後日、自分で書いて郵送する方式だった。

基礎の通気口まわりのひび割れ。地震保険の鑑定人が「一番被害の分かる場所」と言った箇所

うちの基礎の通気口まわり。右側に縦のひび、下には白い染み跡。鑑定人が「一番被害の分かる場所」と言った場所だ。

結果は「一部損」。50万円が出ることになった

判定は一部損。地震保険の建物の保険金額の5%が支払われる。うちの建物の地震保険金額は1,000万円。その5%で、約50万円だ。

あとで調べたら、このお金に税金はかからない。儲けではなく損害の穴埋めだから、所得税も住民税もかからず、確定申告もいらない。

34年間ほったらかしの外壁を調べ始めたら、思ってもいなかった50万円につながった。「うちは壊れてない」は素人の思い込みで、プロは通気口と基礎を見る。電話1本かけなかったら、このお金はなかった。

だめもとで聞けばいいだけだ。地震保険に入っているなら、まず証券を見て、保険会社に電話する。鑑定は無料で、断られても何も減らない。俺も「うちは壊れてない」と思っていた側だ。


コーキングだけなら30〜50万円。鑑定で出る50万円が、ちょうど修理代の目処になるかもしれない。大工の見積もりと合わせて、どう直すかはこれから決める。

大工が、やっと見に来た

7月13日、家を建てた大工がやっと見に来た。頼んでから2ヶ月。ガキの頃からの友達だから、かえって催促しにくかった。

見立てはこうだった。コーキングは剥がして、打ち替える。塗装は、した方がいい。足場は要る。

塗装は、うちの屋根を塗ってくれた塗装業者に頼むらしい。見積もりも、その塗装会社が取る。大工は塗装の専門ではないから、数字は曖昧なままだった。「200万」が生きているのかどうかも、曖昧なままだ。俺は、そんなにかからない気がしている。

それより気になることを言っていた。建築の材料が入ってこない。見積もりは、1ヶ月後には1割高くなっているかもしれない。先が読めない、と。

工事は、来年の春にした。

理由は市の助成金だ。調べたら、うちの市には住宅リフォームの補助制度がある(工事費の2割・上限10万円)。ただし今年度の受付はもう終わっていて、来年度の受付は春。しかも「着工前に申請して、交付決定を受けてから契約」が条件だ。急いで今やれば、10万円を捨てることになる。

大工が言うには、この助成金はくじ引きらしい。当たるかどうかは分からない。ダメもとで申請してくれ、とお願いしておいた。

材料は上がるかもしれない。助成金は、春まで待てば乗るかもしれない。どっちに転ぶかは分からないが、34年待った壁だ。もう半年、待てないことはない。


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