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歯が、入った。
2026年(令和8年)8月中旬。去年の暮れ、詰め物が取れて始まった治療の、最後の部品が口の中に収まった。
あごの骨にネジを埋めてから5ヶ月。初診から数えれば8ヶ月になる。
インプラント装着当日の流れ——約2時間
先に言うと、全部で約2時間。痛かった場面が2回あった。

この日入れた歯は2本
10時45分の予約。この日入れたのは2本だ。
①インプラントの人工歯(ジルコニア)
②その隣の奥歯の金属の被せ物(仮歯だった歯を本番にする)
装着の順番と、時間がかかった場所
まず奥歯の白い仮歯——8回壊れて泣かされた、あのレジンの仮歯だ——を外して、金属の被せ物を装着。
続いてインプラントの土台に、麻酔を打ってから人工歯を装着。
レントゲンは、装着のあとの1回だけ。インプラントが狙った位置にきちんと組み込まれているかの確認だ。ほぼOKだろう、とのことだった。
一番時間がかかったのは、噛み合わせの高さ調整で40分ほど。途中、インプラントの人工歯を2回ほど付けたり外したりしていた。何をしていたのかは、患者の席からはわからない。
ついでに右上の仮歯の点検も頼んだので、全部終わったのは12時40分だった。

インプラント装着は痛い?——この連載で初めて痛かった日
正直に書く。この日は痛かった。
奥歯の白い仮歯を外すとき、歯ぐきを傷つけられた。痛い痛い。先生が「すみません」と一言。
そのあと、インプラントのアバットメント(土台の部品)に人工歯を被せるときも痛かった。歯ぐきが盛り上がっていて、麻酔を打ってから装着になった。
埋め込みの手術も、二次手術も、抜糸も「痛くなかった」と書いてきた連載だ。最後の最後で、初めて痛かった。
帰りに歯ぐきの傷に薬を塗ってもらった。飲み食いは20分たってからだ。
インプラントの総額——見込み42万円、実際は約45万円
金の話は全部、領収書の実物から書く。
装着日の支払いは227,890円
この日の支払いは227,890円。内訳は、人工歯(上部構造)の自費が22万円(消費税込み)、保険診療分が7,890円。カードで払った。
手術と合わせて449,490円——見込みとの答え合わせ
| 支払い | 金額 |
|---|---|
| 埋め込みの手術(2026年3月) | 221,600円 |
| 人工歯の装着(2026年8月) | 227,890円 |
| 合計 | 449,490円 |
最初に医院から聞いた見込みは40万円。消費税を入れて44万円になりそうだと6話で書いた。着地は約45万円だった。
医療費控除は来年の確定申告でやる。計算は3話に書いてある。
インプラント以外にかかった金——保険診療の窓口負担42,150円
もうひとつ、領収書を全部並べてわかったことがある。
今年の通院は、この日で25回。インプラントの自費のほかに、保険診療の窓口負担が42,150円積み上がっていた。1回あたり平均1,700円ほどだ。
隣の奥歯の金属の被せ物は、保険がきいた。この日の7,890円の中に収まっている。
▶ 通院25回の全明細を見る(長いので、開きたい人だけ)
領収書25枚から作った、今年1年分の全記録だ。金額は窓口で払った額(保険は3割負担)。
| 日 | 処置 | 払った額 |
|---|---|---|
| 1/14 | 神経を抜いた(抜髄・3根)・投薬 | 2,670円 |
| 1/21 | 消毒 | 2,260円 |
| 1/31 | 消毒 | 370円 |
| 2/6 | 根に薬を詰めた(根充・加圧根充)・土台の型取り | 1,790円 |
| 2/16 | 金属の土台+CT撮影(自費15,500円) | 17,570円 |
| 2/26 | 歯石取り | 1,100円 |
| 3/18 | インプラント埋入手術(自費220,000円) | 221,600円 |
| 3/25 | 感染根管処置・除去 | 1,580円 |
| 4/4 | 根管のCT・電気消毒1回目・埋め込み手術の抜糸 | 4,740円 |
| 4/15 | 根管に薬 | 390円 |
| 4/24 | 根管に薬 | 390円 |
| 4/28 | 根管に薬(前日外れた仮歯の接着も) | 390円 |
| 5/7 | 消毒・根管に薬 | 910円 |
| 5/19 | 検査・レントゲン2枚 | 1,280円 |
| 5/29 | 根管に薬を充填(ビタペックス) | 920円 |
| 6/8 | 処置 | 850円 |
| 6/9 | 仮歯の接着(駆け込み) | 210円 |
| 6/19 | 歯石取り(全体) | 2,760円 |
| 7/3 | 二次手術 | 3,160円 |
| 7/8 | パック(口の中の絆創膏)が外れて受診・仮歯の付け直し | 210円 |
| 7/10 | 抜糸・レントゲン | 1,120円 |
| 7/17 | 仮歯2本の応急(駆け込み) | 210円 |
| 7/22 | 型取り(本番の歯2本分) | 1,100円 |
| 8/1 | 歯石取り・掃除 | 3,340円 |
| 8/18 | 人工歯の装着(自費220,000円)+金属の被せ物(保険) | 227,890円 |
| 合計(25回) | 498,810円 | |
仮歯が8回壊れた話の、終わり方
この治療の間、仮歯には泣かされた。4月の末から数えて、欠けたり外れたりが8回。多いときは週に1回のペースだった。
8月の頭の掃除の日に、俺は先生に言った。「1週間も持たないんだけど」。
先生はその場で仮歯のすり減りを見つけて、直して付け直してくれた。それから装着の日まで17日間、一度も壊れなかった。この治療で一番長い記録だ。
装着の日には、残っている右上の仮歯の点検を、今度は俺の方から頼んだ。
装着後の注意——「これで完成ではない」
最後に先生から言われた。これで完成ではない、と。
俺は噛む力が強すぎるらしい。しばらくは気をつけて食事をしてくれ、という指示だ。
去年の暮れ、初めての診察で「噛み合わせが深い。奥歯に力が集中して、欠けたり割れたりするかもしれない」と言われた。その警告どおりに奥歯は欠け、インプラントになり、入れた後もまた「噛む力に気をつけろ」で締められた。
次の診察は2週間後。レントゲンで経過を確認する。
45万円の歯は、入れて終わりではなく、守っていく歯だ。
装着した感想——やっと入った。でも、まだ笑えない
やっと歯が入った。長かった。
ただ、まだ口の中に違うものが入っている感じがする。異物と言うほど大げさではないが、自分の歯だとも思えない。
これからどう付き合っていけばいいのか。
まだ笑えない。
高い買い物だった。
ガキの頃から歯を大事にしていれば、こんな余計な出費はなかった。
後悔先に立たず、だな。
「3・3・3」に、60年かかって追いついた
ガキの頃、学校で「3・3・3(さん・さん・さん)」と習った覚えがある。
だが、真面目に磨いた記憶がそもそも無い。朝は磨いていた。夜は磨いていない。親に磨けと言われた記憶も無い。中学も高校も同じだった。
夜に磨く習慣がついたのは、結婚してからだ。妻が寝る前に磨くのを、面白がって真似していた。それで身についた。
歯医者は、痛くなってから行く場所だった。磨き方をきちんと教わったのは、今の歯医者が初めてだ。それも最近の話だ。
定年を過ぎた今は、3食のあとに磨いている。あの「3・3・3」に、60年かかってやっと追いついた。
ところで「3・3・3」の残りの3が思い出せなくて、調べた。「1日3回・食後3分以内・3分間磨く」だそうだ。昭和の学校で子どもに歯磨きを覚えさせるための合言葉で、今は回数より磨きの質だと言われているらしい。

歯磨き粉は金属のチューブでな。たしかホワイトライオンだった。歯ブラシは、ただ毛があるだけの棒だ
後悔しているのは、インプラントにしたことじゃない
「インプラントにして後悔したか」と聞かれれば、今のところ答えは違う。
後悔しているのは、インプラントにしたことじゃない。インプラントをする羽目になったことだ。
60年分のツケを、45万円で払った。そういう話だ。
まとめ|8ヶ月と45万円の買い物だった
手術2回、仮歯の修理8回、通院は今年だけで25回。締めて約45万円(保険分まで入れると約50万円)。
ブリッジにするか、インプラントにするか。1話で悩んだ選択の、これが全部の答えだ。
選んでよかったかどうかは、この歯を何年使えるかで決まる。この連載はここで終わるが、経過はまた書く。
45万円かけて入れた歯だ。
インプラントは虫歯にはならないが、歯ぐきの病気にはなる。磨き方が悪ければ、この金がどぶに流れる。
それで俺は、この治療の途中で歯磨きを見直した。

俺は歯ぐきを注意されたことが一度も無い。悪ければ、言われるはずだ
試したのが「奇跡の歯ブラシ」と呼ばれる定期購入の商品だ。使ってみて、解約までやってみた。いいところと駄目なところ、解約の手順まで別の記事に全部書いてある。
【インプラント治療記録・まとめ】
第1話:検討から決断まで
第2話:初診〜治療開始
第3話:手術前夜、不安と覚悟
第4話:手術当日とその後の現実
第5話:抜糸完了。痛みも違和感もなし。
第6話:二次手術。3ヶ月待った骨にアバットメントがついた
第7話:装着完了。8ヶ月と45万円の答え合わせ ←いまここ


