ふと相続税のことを思い出した
ある日ふと、
「そういえば、母が亡くなったとき
相続税ってどうしたんだっけ?」
と思い出した。
役場にも行ったし、
年金の手続きもしたし、
土地の名義変更もやった。
でも相続税については、
不思議なことに記憶がほとんどない。
相続というのは、悲しみの中でやるものだから
相続というのは、悲しみの中でやるものだから、
覚えていないのが普通なのかもしれない。
母が亡くなったときは、
とにかくやることが多かった。
死亡届、年金、名義変更。
役場で手続きの順番を教えてもらいながら
一つずつ進めていった。
悲しみの中で書類をめくる毎日は、
本当にしんどかった。
ただ、書類よりむしろ
近所や親戚、兄弟への気遣いの方がきつかった。
悲しんでいる暇もなく、人付き合いをこなしていた。
忙しくして気を紛らわせていたのかもしれない。
そんな中で、相続税の話まで
頭に入っていなかったのは
仕方のないことだったのだと思う。
母の財産はそれほど多くなかった
母の財産といっても、
土地の持ち分と預貯金くらいだったと思う。
家は自分名義だったが、
土地は母と半分ずつの共有だった。
その土地の名義変更は
家を建てたときに手続きをお願いした
司法書士に頼んだ。
費用は30万とか40万くらいだったと思う。
郵便局の人の一言
ただ一つ、今でも覚えているのは
郵便局の定期のことだ。
母の体調がかなり悪くなっていたころ、
家に出入りしていた郵便局の人に
こんな話をした記憶がある。
「こんな状態なんですよね」
するとその人が、
「名義のことなども、
考えておいた方がいいかもしれませんね」
そんな感じのことを
さりげなく言ってくれた。
助言だったのか、
ただの独り言だったのか。
今となってはよく分からない。
ただ、あの一言はずっと頭に残っている。
その後、自分で郵便局に行って手続きをした。
解約ではない。
大きな声では言えないが、名義変更だ。
母がまだ元気に動けるうちに、自分でやった。
あとから知った「基礎控除」の仕組み
ずっと後になってから知ったことがある。
相続税には「基礎控除」というものがあって、
3,000万円+600万円×相続人の人数
までは税金がかからない。
日本では、相続税を払う人は全体の1割程度とも言われている。
つまり、ほとんどの人には関係ない話だ。
俺の場合、相続人は自分一人だったから
3,600万円までは非課税だった。
母が残したのは築40年以上の家と、
わずかな貯金だけだ。
おそらく控除額の中に収まっていたのだろう。
つまり、申告そのものが不要だったわけだ。
当時の俺は、そんな仕組みがあることすら知らなかった。
誰かに確認して、うちはかからないと分かったのだと思う。
だから税務署には行かなかった。無視した。
それが結果的に正しかった。
やっておけばよかったこと
今になって思うのは、
親が元気なうちに
財産の話をしておけばよかった、ということだ。
何がどこにあるか。
通帳はいくつあるのか。
保険は入っているのか。
親が亡くなってから全部調べるのは、
精神的にも体力的にもかなりきつい。
せめてメモでもいいから、
どこに何があるか書いてもらっておけばと
何度も思った。
こればかりは、経験してからでは遅い。
相続は全部理解して進むものではなかった
今振り返ると、相続というのは
全部理解してから進むものではなかった。
分からないことを確認して、
順番を聞いて、
一つずつ進めていく。
そんな感じだった。
もし今、同じ状況になった人がいるなら
一つだけ言えることがある。
相続のことを知らなくても、
まったく恥ずかしいことではない。
ほとんどの人が
初めて経験することだからだ。
分からないことは
そのまま聞けばいい。
そこから順番に
手続きは進んでいく。


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