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洗い場に立つと、真ん中あたりで床が沈む感覚がある。
体重をかけると、かすかにへこむ。音はしない。見た目も変わっていない。
だが確実に、何かが変わっている。
この感覚に気づいたのは5年ぐらい前だ。
最初は気のせいかと思った。だが毎朝踏むたびに、同じ感触がある。
気のせいではない。
1992年から34年。俺の家の風呂は何歳か
我が家は1992年6月に建てた。今年で34年目になる。
給湯器は2016年の真夏に壊れて、交換した。シャワーだけが出なくなった日のことは今も覚えている。
交換してから、もう10年が経つ。
だが風呂本体、つまりユニットバスには一度も手を入れていない。
タイルも浴槽も洗い場も、家を建てたときのまま34年使い続けてきた。
意識したことすらなかった。壊れていなかったから。
給湯器の寿命は知っていた。でも風呂本体は?
給湯器の寿命は、身をもって知った。一般的に10年から15年と言われている。
うちが24年もったのは、車庫の中に設置されていたからだ。雨も日光も当たらない場所だった。それは例外だった。
では、ユニットバス本体の寿命は何年か。
調べると、20年から30年が目安と出てくる。
34年。とっくに超えている。
床のへこみは、老朽化が足元に出てきたサインだったのかもしれない。見た目には出ていない。だが、中では確実に何かが進んでいる。
ネットで調べたら、100万という現実が出てきた
2、3年前に調べた数字では、「ユニットバス 丸ごと交換」で70万から150万がずらっと並んでいた。
一般的には70万から90万が多く、給湯器も同時に替えるなら、さらに20万から30万かかると書いてあった。
合計で100万前後。画面を閉じた。どこまで信じていいか分からなかったし、そのまま動く気にもなれなかった。
ただ、その数字だけは頭の隅に残り続けている。
知らない業者には頼みたくない
妻と次男にも話した。姉の家の風呂も丸ごと替えたという話を聞いたので、いくらかかったか姉に聞いてくれと頼んだ。
返ってきたのは「う〜ん」だった。それきりだ。
家族全員、うやむやのまま今に至る。
業者に連絡するという選択肢もある。だが正直、知らない相手に任せる気にはなれない。
家を建ててくれた大工がいる。34年の付き合いだ。屋根の塗装を2回、雨樋の修理も頼んできた。
腕も人柄も、こちらが分かっている。まずその人に相談してみるつもりだ。
聞こう聞こうと思いながら、まだ電話できていない。
工事の間、風呂はどうするのか
調べると、工事期間は2〜4日、内容によっては1週間という例もあるらしい。その間は風呂に入れない。
銭湯に行くか、子供の家に泊まるか。業者が仮設シャワーを手配してくれる場合もあるらしい。
段取りも含めて、大工に相談するしかないかと思っている。
自分で全部調べて手配するのは、正直しんどい。
冬にやるのだけは避けたい。夏なら3日くらい、銭湯や行水でしのげる。
つまり今年の夏が、一つの踏ん切りどころだ。
みんな、どうやって踏ん切りをつけたのか
気になって、ネットで他の人の体験を調べてみた。
一番多いのは「完全に壊れてから替えた」パターンだ。排水栓が開かなくなった、乾燥機が止まった、カビが取れなくなった。限界になってから動く。
次に多いのが「節目のお金が入ったとき」。子供が巣立った、退職金が入った。生活の変化に乗じて決断する。
Yahoo知恵袋には「15年目でくすみが出てきたが、まだ10年は使えそう。でも新しいのが羨ましい」という投稿もあった。返答は「壊れてから替える人が多い」だった。
俺も同じだと思う。さすがに限界にならないと替えない。
金がもったいないと感じるのは浅ましいか。そうかもしれないが、そうなんだから仕方ない。ケチなんだろう。
壊れてから動くのか、へこんでから動くのか
給湯器の記事に、こう書いた。壊れる前に備えろ。前兆が出たら、冬になる前に動け、と。
その文章を書いた俺が、床のへこみに気づいてから5年間、何もしていない。
毎朝踏んでいる。へこむと感じながら、踏んでいる。
言い訳をするなら、壊れていないからだ。水は出る。湯船にも入れる。生活は回っている。
だがそれは、給湯器がシャワーだけ出なくなったあの夏と、同じ状況ではないか。
備えを語った人間が、一番動いていなかった。
保険で直らないか、電話して聞いてみた
7月のある朝、お金の勉強のライブ配信で、こんな事例を聞いた。
子供がおもちゃをテレビにぶつけて、画面が割れた。火災保険で直ったという。
テレビが出るのか。じゃあ、うちの風呂の凹みはどうなんだ。
火災保険の対象なのか、地震保険なのか、そもそもダメなのか——素人の俺に分かるわけがない。
分からなければ、電話して聞けばいい。それだけのことだ。
その日のうちに、保険会社に電話した。だめでもともとだ。
風呂と外壁では担当が違うそうで、夕方4時に折り返しの電話が来た。
結果はこうだった。
「経年で腐ったのでしょう。地震などの原因ではないと思います」
つまり、保険は出ない。34年の経年劣化。自腹で直すしかない。
調べると、ユニットバスの床がへこむのは、床材の下の断熱材や下地が劣化して、支えを失うのが主な原因らしい。
放っておけば下地の腐食が進んで、最悪、床が抜けることもあるという。
うちの「かすかにへこむ」は、その入り口なのだろう。
電話の途中、保険会社のおねーさんがこう聞いてくれた。
「何かを落として、凹んだんですか?」
あとで調べて分かった。物を落として壊した——そういう突然の事故なら、補償の対象になる契約があるのだ。
そう言えば、出たのかもしれない。
だが、うちの床は落とし物じゃない。34年の経年だ。俺はそのまま言った。
聞かれてもいないのに「落とした」と言うのは、保険金詐欺だ。それだけはやめておけ。
事実だけ言って、判定は向こうに任せる。俺はそうした。だから堂々とこの記事が書ける。
出るか出ないかは、保険会社が決める
風呂はダメだった。だが、電話してよかったと思っている。
同じ電話で、外壁の話もした。コーキングが剥がれている。経年劣化なのか、地震なのか、雪なのか——くどいようだが、それを決めるのも保険会社だ。
そうしたら「鑑定人が見に行きます」となった。
俺が先に「どうせ経年だ」と諦めて電話しなかったら、この鑑定はなかった。
分からないことは、聞けばいい。遠慮は無用だ。電話一本で、次の一歩が見える。
さて、風呂は自腹と決まった。
ここから先は「いくらで、どこまで直すか」の話だ。
まずは34年付き合いのある大工に、聞くだけ聞いてみる。
見積もりを取ったら、また書く。
うちは大工に頼むつもりだが、頼める相手がいない人には、無料でまとめて見積もりが取れるサイトもある。相場を知るだけでも一歩だ。
あなたの家の風呂は、何年目か。
床を踏んでみたことはあるか。
迷ったら、保険会社への電話はタダだ。

